柿本人麿の人生は多くの謎に包まれていますが、「万葉集」の代表的な歌人として多くの優れた歌を残しました。
人麿が活躍した時期はおおよそ壬申の乱(672年)から平城京遷都(710年)といわれており、持統朝(687年
〜697年)の時代に宮廷歌人として活躍し、この時期が彼の全盛時代であったようです。
万葉集は4516首あり、そのうち人麿に係る歌は約457首あるとされています。
人麿の歌を時期的に見ると大きく次の4つに区分され、やまと歌の漢字による文字表現が色々と工夫され新しい
表記法を生み出すとともに、古事記や日本書紀の礎を築いた時期であるといわれています。
@ 672〜680年(天武9) 歌集、略体歌
A 681〜689年(持統3) 歌集、非略体歌
B 690〜701年(大宝元) 作歌、宮廷歌
C 702〜708年(和銅元) 作歌、地方歌
これらの中から私の好きな46首を選び、その詠われた時期と場所を私なりに推定して、春、夏、秋の順にその足
跡をたどって描いた「人麿スケッチ紀行」を紹介致します。
場所は足跡図に示すとおりですが、大和朝廷のあった奈良県明日香村を中心にして、櫻井市、橿原市、三輪巻向、
吉野、鳥羽、安騎野、木津川、宇治川、琵琶湖、明石市、淡路島、沙弥島、三原市、江津市、浜田市、益田市です。
時期ははっきりと記載されている場合、歌の中で使われている言葉から季節を推測できる場合もありますが、時期
的には明確に示されていない場合は、心ときめくような歌は春に、心悲しげな歌は秋にもってまいりました。
このスケッチ紀行を、時代順に人麿の人生を追いかけるようにして本にまとめましたので、是非一読ください。
「万葉スケッチ紀行 柿本人麻呂の生涯」