「鳴呼見(あみ)の浦に 船乗りすらむ 乙女らが 珠裳の裾に 潮満つらむか」
(万葉集 40)
自作の歌
和歌の意味: 鳴呼見の浦で舟遊びをするために船に乗り込もうとする乙女達のあの美しい裳裾に、
潮が満ちよせているだろうか。
自分は都に留まっているが、皆の楽しそうな姿をこうして思い起こしている。
旅の思い出: ここ小浜は昔、鳴呼見の浦と呼ばれたところで、この浜から舟遊びに出たのでしょうか。
柿本人麿は、692年3月に行われた持統天皇の伊勢国への行幸に連れて行ってもらえず、
飛鳥の都に留まっているときに詠んだ歌で、うらやんで乙女達の美しい白い足が裳裾から
のぞくのを楽しむようにエロティックに詠っています。
私もその情景を描こうと小浜へきました。
漁師の方々が採ってきたわかめを浜辺に干す作業を一生懸命にやっていました。
空は快晴で、日は照っているものの、沖のほうから冷たい風が吹いてきて、絵を描いている
私の手も切れるようで、かなり厳しいものがありました。
そこで次の歌が生まれました。
「わかめ干す 日は燦々と 輝けど 風は身を切る 浜の手仕事」