旅の思い出: 11月14日、見事に晴れた一日でした。
正に大宇陀のかぎろひの丘では、歌の通りの光景が広がっていました。
上の絵は歌にあわせて、左側にかぎろひを、右側に月の傾きを同時に一枚の紙に描いてみました。
「かぎろひ」は、明け方の明りで日が出る前の赤黄色に染まった空をいいますが、その朝焼けの空を
左半分に、振り向いて月が山に傾く姿を右半分に描きました。
このときの情景を次の歌で表現してみました。
「かぎろひの 丘に登りて 見渡せば 母屋の上に 月飾りかな」
かぎろひの丘には現在、母屋のような休憩所が西側にあります。
月の傾きが母屋の屋根の上に懸かり、丁度茅葺き屋根の上(髪)に月の飾り(かんざし)が懸かって
いるように見えました。
そして、11月19日にもう一度かぎろひの丘を見に行きました。
その日は、急激に寒気がやってきて雪がぱらつきました。
確か万葉集の「軽皇子(かるのみこ)の安騎の野に宿りし時に、柿本人麻呂の作りし歌」の中に「夕さ
り来れば み雪降る 安騎の大野に はたすすき」の歌がございます。
正にその情景を目の当たりに見た思いにかられ、感動いたしました。
そのときに次の歌を詠んでみました。
「風寒く み雪舞散る 大宇陀の 安騎野の山は 色づきにけり」
実はこの二つの短歌を旅の途中で、宇陀市大宇陀観光協会主催の「かぎろひ短歌」募集に応募した
ところ、「風寒く・・・・・・・・・」の歌が図らずも佳作で入賞してしまいました。賞状は下の写真の通りです。
毎年、旧暦の11月17日(新暦の12月中旬)にここ大宇陀区迫間にある「かぎろひの丘万葉公園」で
「かぎろひを観る会」が開催され、そのために短歌を募集していました。
今年は、12月14日(日)に行われたようですが、私は都合が付かず、残念ながらその「かぎろひを観
る会」には参加することが出来ませんでした。
しかしながら、お陰様で、よい経験をさせていただきました。
近くに、安騎野人麻呂公園と大宇陀温泉「あきののゆ」があります。
宇陀市役所で頂いた宇陀市観光連盟(TEL 0745−82−2457)作成のパンフレットから、安騎野の
紹介文を下に示します。
素晴らしいところですので是非一度行ってみてはいかがでしょうか。
「東(ひんがし)の 野に炎(かぎろい)の 立つ見えて かえりみ見すれば 月傾きぬ」
(万葉集 48)
自作の歌
和歌の意味: 朝早く東の野に陽炎の立つのが見えたので、振り返ってみると月は西の空に傾いていました。
(これは賀茂真淵の案出した読み方による)