「木曾のとち 浮世の人の みやげ哉」
俳句の意味: 秋になると栃の木はどんぐりよりも大きな実がなり、その実をつくと栃餅になる。
その栃の実を浮世の人に持って帰って土産にしよう。
この栃の実を越人に渡しながらこの歌を詠むことによって、芭蕉は浮世の外にいることを
意識していることをうかがわせる。
旅の思い出: 奈良井宿の駅前で朝5時に起きて、奈良井宿付近を散歩していると、旧中仙道の杉並木
があり、その先に二百体のお地蔵様を祭る地蔵尊を見つけました。
そこには清涼な空気が漂い、誠に静かなところでした。そこで一句うまれました。
「里の秋 静かにねむる 地蔵たち」
近くを散策して、鳥居峠の入口まで車ではいるための道を探しようやく見つけました。
車がすれ違えないような未舗装のぬかるんだ細い山道を車で走ること約20分、ようやく
鳥居峠の入口に到着しました。そこからは、歩くしかなく、入口には熊よけのための警鐘が
おいてありました。その鐘をおもいっきり鳴らして峠に入りました。少し行くと栃の木群がみつ
かり、有名な「子産の栃」がありました。
そこでスケッチしていると、森の奥のほうで「ばさり」と音がしたので、一瞬熊ではないかと
思いましたが、しばらくするとまた「ばさり」と音がしてなんだろうと回りを見渡したところ突然目
の前のキャンバスの上にものすごい勢いでゴルフボールぐらいの大きさの栃の実が落ちてき
ました。これが頭に直撃しないことを祈って一句
「栃の実の ばさりばさりと おどしけり」
午後2時ごろ、栃の木群のスケッチを終え、再び細い山道を戻って奈良井宿をぬけて次の目的
地である会田宿へ向いました。
自作
里の秋
静かにねむる
地蔵たち
栃の実の
ばさりばさりと
おどしけり