た いちまい
「田一枚 植ゑて立去る 柳かな」
俳句の解説: 芭蕉は、西行が歌った「清水の流るる柳」の遊行柳の前で、過去の歴史を
思い起こしながら長い間佇んでいました。すると、早乙女たちが来て大きな
田んぼを一枚植え終えて帰って行きました。
旅の思い出 : これは、芭蕉が尊敬する西行法師が「道のべに清水ながるる柳かげ しばしとてこ
そ立ちとまりつれ」(新古今集)と歌った柳で、遊行上人が祈祷により生き返らせた柳
とされています。
この遊行柳をじっと見つめてスケッチに集中していたところ、百メートルほど離れた
あぜ道を小学生の一団がほぼ一列になって歩いておりました。私を見つけると、つぎ
からつぎへと大きな声で「おはようございます」と挨拶してくれました。私も嬉しくなって、
小学生がいなくなるまで手を振って心の和む思いを致しました。
その後は田んぼ一面ただただ静寂に包まれました。そこで1句浮かびました。
「風もなく じっと佇む 柳かな」
自作
風もなく じっと佇む 柳かな