「須磨寺や ふかぬ笛きく 木下やみ」
旅の思い出: この日は「笈の小文スケッチ紀行」の最終日で、朝5時に起きて、6時から午後2時まで
須磨寺の敦盛首塚を描きました。
そこへ、ボランティアで寺の境内の掃除をしているというお婆さん(茨木さん)がよって
こられて、昔の話をしてくれました。
昔須磨は8軒の村だったそうで、今でも「須磨八軒」と呼ばれる村人の墓地があるとの
ことです。茨木さんはその子孫だそうで、この近くで40年間食堂を開き、須磨は住みや
すいところだと満足げでした。
しばらくすると、須磨寺のお守りを買ってきて、絵を見せてくれたお礼と、私の妻へのお
土産だといって私にくれました。
私が一人旅をして絵を描いているので、さぞかし妻が家で心配しているだろうと気を使
ってくれたようです。ご心配をおかけして申し訳ないと思い、感謝していただきました。
こうして、敦盛の首塚の周りの新緑を見ていると、敦盛が吹く「青葉の笛」の音が聞こ
えてくるような気がして一句浮かびました。
「新緑に 笛の音悲し 首の塚」
絵を描き終えて、明石市の「滝の湯」に入って、昼食兼夕食をとって6時間ほど休憩室
で仮眠しました。
翌日5月6日(金)は出勤で、ゴールデンウイークの中日なので高速道路の混雑が予想
されるため、その夜10時に須磨を出発して、翌日朝直接会社に出勤しました。
こうして「笈の小文スケッチ紀行」を終えて、翌朝7時に大田区東糀谷にある会社に到
着しました。
最後に、須磨に残した月を思い浮かべながら一句作りました。
「有明の 須磨に残りし 夏の月」
自作の句
新緑に
笛の音悲し
首の塚
有明の
須磨に残りし
夏の月