とぎ
「磨なおす 鏡も清し 雪の花」

俳句の意味:  貞享元年(1684年)冬に芭蕉が参詣したとき(野ざらし紀行)の社殿はいたく荒廃して

         いました。熱田神宮の修復が貞享3年に行われ、翌4年に芭蕉が再度詣でた折に修復

         されている社を見て、折からの雪にとりあわせてその神々しさを純白の花のような雪に

         なぞらえて歌ったものです。

旅の思い出:  熱田神宮の宮司さんに、貞享3年(1686年)に修復された社殿はどれか訪ねたところ、今は

        ほとんどの建物が明治以降に建てられたもので、江戸時代の様式を残している社殿は、この

        土用殿だけであると教えていただきました。

          この社は熱田神宮の中でもかなり奥まったところに鎮座し、柵の外からでしか見られない

        もので、神宮さんの許可を得て、覗き込むようにして描きました。

          熱田神宮には、楠の大木をはじめとして神の声を告げるような老木が生い茂り、スケッチを

        している間に時折、七五三で参詣の知らせを神に伝える大太鼓の音が木々の間から聞こえ

        てきました。その太鼓の響きがやけに神々しく聞こえ、大樹を通じて神々に伝えられていくよう

        な錯覚を感じました。そこで一句

               「神宿す 大樹に告げる 冬太鼓」





 

熱田神宮 土用殿

自作の句

神宿す
 大樹に告げる
 冬太鼓
 

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