「鷹一つ 見付けてうれし いらご崎」

俳句の意味:  芭蕉の弟子の中でも、特に詩人的資質に優れた「杜国」を訪ねて、「いらご鷹」で

         有名な伊良湖岬にやってきて、杜国と会えた喜びを杜国を優れた鷹と見立てて、

         仲間と離れた一匹の鷹を見付けた喜びとして歌っています。

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旅の思い出: 杉山町の宝林寺で暗くなるまでスケッチした後、一路伊良湖岬に向かい、夜遅く着きました。

         レストラン兼宿屋の「黒潮」に一泊したところ、外の暗闇の中から潮騒の音のだけが聞こえ

        てきました。

         ここは、鷹の通り道として知られ、昔から渡り鳥の歌枕として有名なところです。そこで一句

             「潮騒の 闇を聞いてか 渡り鳥」

         翌朝、伊良湖岬の海辺で白い早朝の月を見ました。

             「松影に 潮風渡る 朝の月」

         スケッチをしながら、伊良湖岬の海を眺めつつ

             「一人旅 空高く舞う 鷹一つ」   「荒波の 逆巻く空に 鷹の声」

         石蕗(つわぶき)の黄色い花が、青い空と海に向かって咲いているのを見付けて

             「石蕗や 色のしみ入る 伊良湖崎」

         「黒潮」の女将にほめられて気をよくして、スケッチのコピーを女将に渡して一路熱田へ向かい

        ました。その後の便りでは、大切に額に入れてレストランのロビーに飾ってあるとのことでした。
         
         もう一つの旅の思い出として、宿屋「黒潮」で、風間嘉隆さんにお会いして、女将と3人で夜遅く

        まで語り合ったことが心に残ります。 風間さんは強健71歳、オートバイで利尻島から屋久島ま

        で日本中を走り回り、現在2度目の旅だそうです。

         残りの時間を大切にして有意義な人生を送ることで意見が一致しました。

         特に若い人たちとの出会いを大切にしておられるようでした。

         今年の10月に「オートバイと山と」という本を出版され、私の出版した「奥の細道スケッチ紀行」

        と交換し合いました。こうした人との出会いは旅の貴重な贈り物ではないでしょうか。

         いつまでもお元気で、日本中又は世界中をオートバイで走り回ってもらいたいものです。








 

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