なつごろも しらみ
「夏衣 いまだ虱を とりつくさず 」
俳句の意味: 深川芭蕉庵に戻ってきて落ち着いたが、いまだ旅中に着ていた夏衣の蚤も
取り尽くしていない。着いたばかりの落ち着きのなさと疲れの中で、旅の余韻
を残しつつも、少しずついつもの草庵の生活に戻っていく安堵感を、蚤のような
滑稽なものに喩えて表現しています。
旅の思い出: 私も、自宅に戻った翌日に芭蕉庵跡を訪ねて芭蕉の最後の歌の気持ちを
じっくりと考えていました。秋から始めた5回にわたるスケッチの旅の最後は
夏でした。長い一年の旅がそこで終わりました。芭蕉の最後の歌には、長い
旅を終えた感慨が含まれています。深川を「のざらし」を覚悟で、出立したに
もかかわらず、よく無事に帰ってきたもんだと振替っているように思えます。
その時1句浮かびました。
「深川に 戻りて旅の 夏衣」
自作
深川に
戻りて旅の
夏衣