ぼたんしべ わけいず なごり
「牡丹蘂ふかく 分出る蜂の 名残哉」
俳句の意味: 牡丹は熱田でさんざんお世話になった林桐葉、蜂は自分に喩えています。
桐葉宅の庭に牡丹が咲いていて、その蘂(しべ)の奥深く分け入ってたっぷりと
蜜をすった後に花粉にまみれて飛び立つ蜂のように、こころは満ち足りて江戸に
立って行く謝辞を述べた歌です。
旅の思い出: 残念ながら、林桐葉宅は立て札だけで跡もないので、牡丹も見れませんでした。
そこで、すぐそばの熱田神宮へ行って、牡丹は咲いていないかお聞きしたところ、
ここにもないとのことだったので、仕方なく熱田を代表する熱田神宮の社を描いて、
牡丹を添えました。本宮の社はあまりにも大きすぎたので、別宮を描きました。
スケッチを描いている間、老人の紳士がそばに来てじっくりと見ておられました。
ご自分も絵を描かれると言うことで、私の描き方を興味深げに見ておられました。
最初からサインペンで描いていくので間違わないのかと心配しておられました。
私は夕方描き終えて、神宮の巫女さんに絵をお見せしてから、お礼を言ってその
場を立ち去りました。