「白げしに はねもぐ蝶の 形見哉 」

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俳句の意味:  4月上旬、芭蕉は熱田を立って江戸に向かいました。その時名古屋の杜国に

         別れを惜しむ歌です。芭蕉が一番愛した弟子は、杜国でした。この句は白げしを

         杜国、蝶を自分に喩えて杜国の人柄の純白さと、その白げしにしばらくとまって

         いた蝶が、別れのつらさに形見として自分の翅をもいで与えると言う意味を含め

         ています。

旅の思い出:  この歌は、芭蕉の友人であり門人であった林桐葉(はやしとうよう)宅で句会が

         開かれたときに歌われたと聞いて、桐葉宅を探したところ、宅跡を示す小さな看板

         が1枚立っていました。そこは、熱田神宮の正門から出たすぐそばにありました。

          熱田を代表するのは熱田神宮なので、西行も芭蕉も渡ったという熱田神宮の二十

        五丁橋を描き、白げしの花を添えました。

          神宮の中は大都会の中心にありながら静寂で、車の音一つ聞こえず、楠の巨木

         や梅、椿の木が林立しています。暑い時期でしたが、森に囲まれた神宮の中は涼

         しく市民の心のオアシスといった感じです。そこで1句浮かびました。


              もり            こしたやみ    
           「楠の杜 音のしみ込む 木下闇」 



  

熱田神宮二十五丁橋

自作

楠の杜
 音のしみ込む
 木下闇

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