「海くれて 鴨のこえ ほのかに白し 」
俳句の意味: 鴨の声をほのかに白いと感じる知覚は、その姿のさだかに見えない夕闇を媒介
として生じたもので、ここでは聴覚が視覚に転化されています。鴨の姿が見えない
ことによって、鴨の声があたかも見える物のように、暮れていく海上に浮かびあが
って行く感覚を歌っている。
旅の思い出: ここを描いている間中、伊勢湾特有の伊吹颪にみまわれ、かじかむ思いをしなが
らも最後まで書き上げました。鴨は悠々と浮かんでいましたが、風の強さに何度止
めようかと思いました。芭蕉がいたころは、ここは海で鴨の声を白く感じたようですが、
私は川風が白く冷たく感じました。そこで1句浮かびました。
「肌を刺す 川風白し 宮の浜」
自作
肌を刺す
川風白し
宮の浜