「手にとらば 消えんなみだぞ あつき秋の霜 」
俳句の意味: 芭蕉は、母親が亡くなって1年余り過ぎてから墓参のために故郷へ帰りました。
「秋の霜」は母の白髪の比喩です。熱い涙を霜の上、つまり手にした母の白髪の
上に落としたら、消えてしまうだろうと歌ったものです。
旅の思い出: ここは芭蕉の実家であり、兄の家です。家の入口は右角を曲がったところにあり、
スケッチの左側が裏庭で木陰に隠れて「釣月軒」と名付けた小庵が見えます。
芭蕉は帰郷の折はここに寝起きし、句作していたといわれています。
スケッチをしていると、近くにお住まいのお年寄りが話し掛けてきてくれました。
聞くところによりますと、小説を書くのが趣味で今でも夜間の学校に通っている
とのことでした。
ペンネームは「みなみでみなみ」といい、「おじいちゃんの夏休み日記」という紀行
文を読ませていただきました。ユーモアと歯切れのよい軽快な文章で、おじいちゃん
が子供のようにはしゃいだ1日が描かれていました。
私の画集「奥の細道スケッチ紀行」をお見せしたところ早速買って頂きました。
素晴らしい人とのふれあいを感じました。