俳句の意味: おりしも七五三の季節、世の慣わしとして子供の成長を祈ってお宮参りをしている。
大社では、大国主命をはじめ、神々をお呼びするため大太鼓を叩く。その音が大社
全体に大きく鳴り響いて、気が引き締まる思いがするものです。
旅の思い出: 平成18年11月15日(水)、3時半に出雲大社の駐車場に到着しました。
雨はいつしか止んでいて、観光客や車の出入りが激しく結構にぎやかでした。
「どことなく 賑う出雲 神無月」
早速、道具を持って出雲大社にお参りし、旅の無事を祈った後、描く場所を探しました。
大社の前を、右や左へ歩き回り、雨が降っても描ける場所を探しましたが、屋根の
ある場所では角度が悪く絵になるところが見つかりませんでした。
仕方なく傘をさすのも覚悟で松の木の下に陣取りました。
ひとしきりお参りする人たちが少なくなったところで、4時ごろからスケッチを始めました。
今日中にある程度の輪郭を取ろうと思いましたが、1時間ほどして突然突風が吹き、
雨が降り始めました。しばらく我慢して描いていると、突如絵の道具が吹き飛ばされ、
傘も飛ばされそうになりました。
泣く泣くその場を引き上げて車に戻リました。何か神様を怒らせるようなことをしたの
だろうかと反省してみましたが、特に思いつくことがありませんでした。
「凩や 大国主の 怒りかな」
昨日は雨にぬれたにもかかわらず、風呂に入っていなかったので温泉を探したところ、
隣り町の平田町に「温泉ゆらり」という外湯がありました。
露天風呂があったのでゆっくりしていると、時折雷が鳴り、時雨が激しくなってきました。
雨にぬれながら温泉に入るのもおつなもので、露天風呂の軒下に隠れました。
しばし時雨を見ながら湯に浸かっていると、湯面に美しい輪の波紋が広がりました。
「しぐれ来て 湯は唐草に 模様立ち」
翌朝5時半に起きて、6時にお参りし、「幸魂(さきみたま)、奇魂(くしみたま)、守りた
まい、さきわえたまえ」といって、2礼、4拍、1礼して、旅の安全と家族の健康を祈りま
した。
10時頃になると、人出が多くなり七五三のお参りに来る家族や観光客で賑いました。
「千歳飴 親が子供の 後を追い」
時折木枯らしが吹く中、午後2時頃までスケッチしました。
あまりの寒さに凍えるようにして、蕎麦屋に駆け込み、「出雲そば(月見)」を食べました。
いい蕎麦の香りがして誠に美味しくいただきました。!
しばらくストーブに当たり体を温めてから店の外へ出ました。
そのそばに、「細石(さざれいし)」の展示があったので、古今集の「わが君は 千代に
八千代に 細石の 巌となりて 苔のむすまで」という和歌を思い出し、一句で表す一句
歌を詠んでみました。
「苔むす巌のさざれ石」
午後3時に出雲大社に別れを告げて、柿本人麿が島流しに会い入水したという益田
の中須海岸へ向いました。
益田に着いたのは夕方の7時、中須海岸は真っ暗で、柿本人麿が入水した場所を示
す石碑を探しましたが、全くわからずあきらめて寝るところを探しました。
車で15分位西へ向うと、191号線沿いに、「ふれあい広場」というところがあって、トイ
レがあるのを確認して、その駐車場に車を留めて、あまりにも疲れたので8時半には寝
てしまいました。
すると、夜中の11時半ごろに、車の窓をドンドンと叩く音がして、びっくりして飛び起き
ました。それは巡回中のおまわりさんで、男のおまわりさんと、女のおまわりさんがペア
で巡回していました。最近この辺は危ないので気をつけるようにと注意を受けました。
30分ほど職務質問を受けて、車の中で寝ている理由を説明し、今まで描いた絵をお
見せたところ、感心してびっくりしておられました。
ついでに、柿本人麿が入水した場所をお訪ねしたところ、女のおまわりさんがそれら
しきものが、近くの排水処理場の門の脇に立っていると教えてくれました。
夕方探していた場所のごく近くであることを確認し、安心して寝ることにしました。
「七五三 子宝告げる 大太鼓」 俊愚