「ありがたや 雪をかをらす 南谷」
俳句の解説: 芭蕉は、南谷別院に数日泊めてもらいました。谷間にまだ雪が残り、
その南谷からの風が雪を薫らせて吹いてきます。その清らかな感じを
「有難や」と表現し、霊地に対する挨拶であり、同時に感謝の意を含め
ています。
旅の思い出 : 羽黒山は山全体が神社で、頂上まで2446段の階段を登らなければなりません。
その中腹から約15分ほど獣道のように細い道を入ったところに、芭蕉が宿泊した
南谷別院跡がありました。そこを描いていた5時間というもの誰一人として会わず、
小鳥の声も聞こえず、ただただ梢をゆする風の音だけが激しく聞こえていました。
ここではその静けさに大自然に対する畏敬の念を感じ、2句浮かびました。
せいらん
「青嵐に 梢ざわめく 南谷」
せいりょう
「清涼の 草木をわたる 風の音」
昼なお暗い鬱そうとしたところで、夕方近くになると足元がよく見えず、よく霊が出る
と聞いていたので、わき目も振らず駆け下りました。
自作
青嵐に 梢ざわめく 南谷
清涼の 草木をわたる 風の音