こも ど
「春の夜や 籠り人ゆかし 堂の隅 」
俳句の意味: 春の夜は静かに暮れて行くが、御堂の隅に参籠している人はいかなるお人か、
あのゆかしいお人はある方との恋でも祈っているのだろうか。
旅の思い出: 4月10日、伊賀上野を午後3時に出立し、夕方近くに長谷寺に到着しました。
歌にあったところを探そうと、長谷寺を一巡しましたが、初瀬の山全体がお寺で
巨大な本堂をはじめとして多くの仏閣が立ち並んでいました。
その中でも最も静まり返った御堂の片隅をスケッチすることに決めて、長谷寺の
近くに車を止めてねむりました。
夕刻8時に、なにやら寺の中が騒がしく、耳をそばだてて聞いていると、修行僧
がのどの訓練をしているのか、大声で何度も何度も「火の用心」の掛け声が聞こえ
てきました。山に声がこだまして、春の夜の風物詩のように初瀬の町全体に響いて
おりました。そこで一句
はつせ
「春の夜に 初瀬に響く 僧の声」
あくる朝、5時におきて6時から昨日決めておいた堂の隅で描いていると、一人の
老婆がやってきて、ちらりと私を一瞥してから、小さなお堂に向かって静かに祈りを
ささげて去っていきました。
自作の句
春の夜に
初瀬に響く
僧の声