1 灯台
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ルーベンス、忘却の河、怠惰な園(・・・パレス)
新鮮な肉の枕よ、人が愛することはできぬとも(・・・エメ)
しかし、命が常に流れ込み、波立っている、(・・・セス)
空渡る風や海の潮のように(・・・ラ メール)

レオナルド・ダ・ビンチ、深く暗い鏡よ(・・・ソンブル)
魅力ある天使達は、おだやかな笑みをたたえ(・・・スーリ)
神秘に満たされて、姿を現す(・・・ロンブル)
彼らの国を鎖している氷河と松の陰に(・・・ペイ)

ワットオ、著名な紳士淑女のカーニバルよ(・・・イリュストル)
胡蝶のように燃え上がり練り歩く(・・・フランブン)
シャンデリアに照らされた新鮮で軽やかな舞台(・・・リュストル)
旋回する舞踏会に狂気を注ぎ込んでいる(・・・トルヌン)

ボクサーの怒り、半獣神の軽率さ(・・・フォーヌ)
お前は下賤のやからの美を集めることを知り、(・・・グジャ)
高慢ちきな心、黄ばんで虚弱な男(・・・ジョーヌ)
ピュジェよ、囚人どもの憂鬱な皇帝よ(・・・フォルサ)

レンブラント、ざわめきに満ち満ちた悲しい診療所よ(・・・ミュルミュール)
大きな十字架が飾られているだけの(・・・スールモン)
涙ながらの祈りがゴミの中から沸き立つのを(・・・オルデュール)
そして、その日の光がそっけなく横切る(・・・ブリュスクモン)

それは幾千の哨兵に繰り返される叫びなのだ(・・・サンティネル)
幾千のメガホンで送り告がれる命令なのだ(・・・ポルトヴ
それは、幾千の砦の上にともされた灯台なのだ(・・・スッタデル)
大きな森の中で道に迷った狩人の叫びなのだ(・・・ブ

ゴヤ、未知のものに満ちた悪夢よ(・・・アンコニュ)
安息日の饗宴で煮られる胎児とか(・・・サバ)
鏡に見入る老婆とか、丸裸の子供とか(・・・ニュ)
悪魔を誘惑するために長い靴下のみちゃんと履いている(・・・バ)

ミケランジェロ、ヘルクレスがぼんやりと見える場所よ(・・・エルキュル)
キリストたちと混ざり合い、立ちはだかる(・・・ドル
勇ましき亡霊どもよ、黄昏時に(・・・クレピュスキュル)
彼らの指を伸ばして、屍の衣を引き裂いている(・・・ド

なぜなら、主よ、それは正に無上の証言なのだ(・・・テムニャージュ)
われわれが、われわれの尊厳を示すことを得た証だ(・・・ディニテ)
世から世に流転する熱烈なむせび泣きが(・・・アージュ)
永遠の岸辺に消えていくのだ。(・・・エテルニテ)

ドラクロア、悪の天使にとりつかれた血の湖よ(・・・アーンジュ)
常緑の樅の林が影を投げる(・・・ヴェール)
悲しい空の下に奇怪な軍楽吹奏が(・・・エトランジュ)
ウエーバーの息苦しいため息のように過ぎて行く(・・・ウェベール)

この呪い、この冒涜、この嘆き、(・・・プラーント)
この恍惚、この叫び、この涙、この讃歌よ(・・・ドム)
これらは、数千年の迷宮に繰り返す1つのこだま(・・・ラビラーント)
これは死すべき魂のための神聖な1つのアヘンだ(・・・オピョム)

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