この特許出願は、カーペットクリーナーにおいて、フローリング等に間違えて使用した場合でも貼り付かず、
かつ使用後には容易に粘着テープを剥離させることを目的として考案したものです。
平成20年1月に審査請求を上げ、拒絶通知を2回受けて、平成21年2月に拒絶査定を受けたため、3月
に審判請求を上げたところ、平成21年5月に拒絶通知を受け、8月に不成立の審判を受けました。
そこで、平成21年9月に高等裁判所へ訴状を提出し、平成21年11月19日、平成22年1月27日並びに
22年4月19日に裁判所に出頭し、弁論準備手続が行われました。
4月19日には、弁論準備手続で行われた内容を口頭弁論に上程する手続が行われ、判決言渡し期日が
指定されました。
裁判長は双方の弁論内容について、今までの弁論内容以外に追加はないか、また、原告(私)の第3回
及び第4回準備書面に対する反論はないのかと、被告(特許庁)へ問いただしたところ、被告は、「ありませ
ん。」という回答で、口頭弁論は終了しました。
平成22年4月26日に判決が下され、「原告の請求を棄却する。」として敗訴しました。
真に残念ではありますが、仮に最高裁に上訴したとしても、以下の内容から分かるとおり、よほどの不具合
がない限り、判定を覆すことは困難と考え、費用と時間の無駄を勘案して、「正義」を訴えることは控えたいと
思います。
結論から言えば、「粘着テープの粘着力とフローリング等の平滑度に基づく付着力を勘案して、粘着テープ
の一部がフローリング等へ剥離付着しないような大きさに設定した切り目を入れない部分を切り目の上流側
の端部に設けたことにより、切り目を入れない部分が回転によって破断することなく巻き込む力を発揮し、フ
ローリング等への粘着面の付着や粘着テープの剥がれを防止するという作用・効果を奏するものであること
が認められる。」として、その作用・効果については格段の差異があり、進歩性を有することを認めたかのご
とき表現をした後、しかしながら、「引用発明1は本願発明と同様の切り目構造を有すること並びに、平滑度
の高いフローリング等に使用すれば、剥がれやすいということは周知の技術的事項であることを理由に、当
業者が容易に想到し得たものと解するのが想到である」として棄却した。
これらは、通り一遍の判決であり、「本当に当業者が容易に想到し得たものか否か」を論ずべきところ、結
果として類似した構造を元に、その他の明確な証拠を示さずに、不十分のまま、「当業者が容易に想到し得
たものと解するのが想到である。」と結論付けている。
最初に本願の作用・効果を認めたことと、当業者が容易に想到し得ると結論付けたところに大きな隔たりが
あり、矛盾がある。無理に当初の結論を導くために論理を構成しようとする意図が感じられる。
私が再三訴えている「明確な証拠」とは、例えば、引用発明1の中に、「フローリング等に貼り付かないよう
にするためには、断続部22の長さを伸ばすことも考えられる。」というような文言があることであり、被告及び
裁判官はそうした明確な証拠を確認せず、単なる憶測でものを判断しているとしか言いようがない。
明確な証拠がない限り、「当業者が容易に想到し得た」と言い切ることはできないはずである。
以上のことから、本裁判は「真実を問うもの」ではなく、通り一遍の判断をしたに過ぎない。
正にソクラテスの毒盃を仰ぐ心境である。
以下にその判決文のうち「主文」並びに「当裁判所の判断」をここに示し、その判決に対する不服を述べ、
一般市民のご判断を仰ぎたい。
(特願2006−240823)