6月6日、朝から雨がしとしとと降り続き、静かな日曜日でした
  濡れた紫陽花を見ようと、近くの公園に行きました
    
      あじさい
    「紫陽花の ぬれて目にする 青さかな」

 そのあと、少し離れたあやめ園へ行きました
 何ともいえぬ色合いをしたアヤメ草が雨にぬれてじっと佇んでいる姿を見ていると
何とも静かで心の休まる思いがしました
               
    たたず
   
「しばしとて ぬれて佇む あやめ草」


 6月14日、帰宅途中夕暮れ時に、内宿の駅に着きました
 駅の前に萱が生い茂り、かすかな風に静かに揺れていました

   
  かや        
    
「萱茂る 音のかそけき 日暮かな」

 
6月21日、日中台風が通り過ぎ、夕刻には雨がやみ風が残っていました
 駅前の萱の葉が大きく揺れて、ここ数日の暑さをしのいでくれました
 
                        かや
    
「涼しさに 夕影さやぐ 茅の音」 

  7月7日、七夕の夜、上野駅のプラットフォームは強烈な暑さでむっとしていました
  空気がとまり息をするのも苦しく蒸し風呂のようでした。
 

    「吐く息の つまる駅舎の 暑さ哉」


  7月8日、昨日に続き蒸し暑く、風もなく大宮駅の扇風機がむなしくカラカラと音を立て、首を
 回しながら回っていました
     
ゆうなぎ
 
   「夕凪に 首振り回す 扇風機」

  
7月9日、朝から暑く、通勤通学電車の中は混み合っていました
  元気のいい娘たちが4,5人甲高い声でげらげら笑いながらさわいでいました
  車内は蒸し暑く、年寄りには耐え難い熱気がただよっていて、少し気持ち悪くなりました

  
   「娘らの 声ぞかしまし 暑気あたり」

  
7月10日、暑い土曜日でしたが、買い物にでかけました
  近くに木々が生い茂り、空を見上げると強い陽射しの中に夏の雲が高々と広がっていました
 

   「炎天下 茂る大樹や 雲の嶺」

  
7月12日、通勤途中夕立があり近くのお店の軒下で雨宿りをしました
   ふと見ると、可憐な合歓の花が目にはいりました

  
                        ね む
    「君待てば 共にぬれけん 合歓の花」

 
 7月13日、両親の新盆のため早めに帰宅して玄関先に提灯を下げて、迎え火を焚きました
  迎え火を終えて玄関に立っていると、雲行きが怪しくなり、案の定夕立がやってきました
  風が出て2つの提灯が激しく揺れました
  このとき、両親が帰ってきたなと思いました

 
               ぼんちょう
   「夕立に ゆれる盆提 父母の影」

 
 7月16日、朝の通勤時に電車から見た原市沼に薄くもやがかかり、周りに広がる青い田畑が
 やや涼しげに見えました

 
   「谷広く 朝もやかすむ 青田かな」

  7月19日、「海の日」の祝日です
  暑い日が続き、わずかにばて気味なので朝寝をしていると、雨戸の外から元気な雀の声が聞こ
 えてきました
  よくよく耳を傾けていると、チュンチュンという音がやけにそろって聞こえてきました

    「朝寝して 聞けば雀の コンサート」

 
  7月20日、56年ぶりの暑さで東京の最高気温が39.5度に達しました
  夕方、勤務の帰りに吉祥寺の気功院へ寄りました
  吉祥寺の駅を出ると、舗装道路の照り返しで、石の砂漠にいるような思いがしました


     「照り返す ペイブメントや 熱地獄」


  7月21日、精力をつけるために朝食で目玉焼きをたべました
  昨日と同じように今日も極暑で、ちょうど目玉焼きがフライパンの底でじりじりと焼けるような
 おもいをしました

    「目玉焼き 極暑に耐える 鍋の底」



  7月26日、今日も暑い一日でした
  帰りの通勤電車の中から西の空を見ると、夕影に富士の姿がみえました

    「夕焼けの 雲の切れ間に 富士の影」


  7月27日、今日も暑い一日でした
  帰りの通勤電車、冷房機が力強くうなる中で、あまりの混みように車中が蒸し風呂のように
 なって、やけに冷房機の音がむなしく聞こえました

    「冷房機 うなる列車の 暑さかな」



  7月29日、今日も暑い一日でした
  帰り道、内宿の駅を降りて西の空を見ると、夕焼け空に大きな木立が立ちはだかって、黒い
 影を落としていました

     あかねぐも
    「茜 雲 夕影せまる 夏木立」



  8月2日、今日も暑い一日でした
  帰りの通勤電車の中から西の空を見ると、夕焼けの雲が芙蓉の花のように天高く広がる姿
 がみえました

               ふよう
    「天空に 芙蓉のごとし 雲の舞」



  8月3日、今日も暑い一日でした
  帰り道、内宿の駅を降りて西の空を見ると、夕焼け空に濃い紫色の雲が広がり、蝉が鳴き、
 風が出て夕立がやってきそうな模様でした

       あかね     しうん
    「茜さす 紫雲の風に 蝉の声」



  8月4日、今日は私の誕生日、私が生まれたときも暑い一日だったそうですが、今日も暑い
 一日でした
  帰りの通勤電車の中から西の空を見ると、雲が何段にも層を作って、その背後に黄金色の
 西日が激しく射しているのがみえました

                   おうごん
    「重ね雲 ほに黄金の 西日あり」



  8月7日、夏の甲子園高校選抜野球大会が始まりました
  今日から夏休み、テレビで野球観戦をして暑さをしのぎました

    「炎天に 白球迫る 甲子園」



  8月13日早朝、旧盆なので両親を迎えに、玉川上水にある佼成霊園に家族そろって墓参りに
 いきました
  墓石を水で洗い、花とほおずきでかざりました

    「ほおずきや 家族そろって 墓参り」


  夕方、テレビでアテネオリンピックの開催式をみて夏の暑さを吹き飛ばしました

    「オリンピア アテネぞまさに 夏祭り」



  8月16日、旧盆が終わるので、両親を送るための送り火を焚きました
  火が下火になったころ、煙を3回またぐと健康が保てると母に言われたことを思い出しました

    「送り火や 父母の煙を またぎおり」



  8月17日、激しい暑さも下火になり、朝から雲が空一面に広がって、しのぎやすくなりました

    「曇り空 夏の暑さも 峠越え」



  8月19日、幾分暑さがぶり返し、通勤途中恵比寿公園を抜けると、心なしか秋を待つ蝉の声
 が一段と激しく聞こえました

    「ぶり返す 暑さに耐える 秋の蝉」



  8月20日、残暑厳しく、朝早くからギラつくような太陽が東の空に昇りました

    「黄金の 日はまた昇る 残暑かな」



  8月21日、伊奈町で花火大会が行われました
  暗い闇の向こうに花火が広がると、ポンポンという音がして静かに消えていきました
  その後には、秋の訪れを告げる虫の音がリンリンと鳴り響いておりました

    「花火散る 音は薄れて 虫の声」



  8月22日、アテネオリンピックも中盤を迎え、女子のマラソンが行われました
  アテネのマラソンコースは、前半激しい上り坂が延々と続き、後半は厳しい下り坂が続くという
 選手にとって心臓破りのコースだそうです
  日本の女子選手は3人おりましたが、そのうちの一人野口選手が見事に金メダルをとりました
  最後の下り坂で、西日が正面から照りつけ、野口選手の小さな後姿が栄光の光の中に照らし
 出されていました

    「アテネ路や 西日に映える 金の道」



  8月23日、朝外にでるとどことなく秋の訪れを感じさせるような涼しげな風がながれていました

    「新涼に ほっと息つく 今朝の風」



  8月29日、九州に大型台風が接近し、関東から東北にかけて、しとしとと静かな雨が一日中
 降りつづきました
  どこか夏の終わりを告げるような涼しい一日でした

    「しとしとと 夏去る雨の 窓辺かな」






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 今年の夏は暑かった。56年ぶりの暑さで、東京の最高気温は、7月20日に39.5度を記録しました。 
 アテネでは、オリンピックが、甲子園では夏の高校選抜野球大会がそれぞれ開催され、熱戦が繰り広げ
られました。 この夏6月から8月までの間に、私が創作した俳句を紹介します

2004年の夏