今日世界的に環太平洋戦略的経済連携協定TPP(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership

Agreement)が話題となっています。

 平成25年3月15日に、安倍首相は、TPP交渉参加を表明しました。

 また、平成25年2月28日の参議院本会議において安倍首相が行った施政方針演説の中で、経済成

長を成し遂げる意志と勇気について述べています。

 その中の一つとして、『活発でフェアな国際競争を確保するため、貿易や投資のルールを国際的に調

和していかなければなりません。我が国は、受身であってはなりません。グローバルなレベルでも、地

域レベルや2国間レベルでも、日本は、ルールを「待つ」のではなく、「創る」国でありたいと考えま

す。』と述べています。

 地球は狭くなり、世界的に生活様式や企業環境も同一化してきております。

 そうした中で、国益を守る範囲内において、関税の撤廃やユーロのような欧州連合における通貨の共

通化が図られております。欧州における通貨統合により、欧州各国の通貨の相場が大きく変動すること

を防ぎ、欧州経済共同体の加盟国の間で資本の自由な移動が可能になりました。

 また、ユーロの導入によって、従来は共同体内部に存在していた為替相場によるリスクや、そのリス

クヘッジのために企業が負担するコストが低減し、ユーロ圏内での通商や経済協力が増大することが期

待されます。通商の増大は、経済成長をもたらし、企業はより大きな経済圏で活動する利益を享受する

ことができます。さらに、通貨統合により商品、サービス、資本、労働力の自由な移動を促進し、市場

統合を可能にします。
 
 一方、通貨に対する投機は国の外貨準備を吐きださせ、国民経済に深刻な損害をもたらしかねないと

いわれています。為替相場の変動のみで経済が左右され、輸入や輸出に弊害をもたらし、企業努力をし

ても為替の変動で不利益になったり、マネーゲームで利益を享受するのは根本的に理不尽なことだと思

います。

 確かに従来は地域的にも離れ、各国で経済を自立させておりましたが、いまや地球が狭くなり、世界

貿易が盛んになってきた今日では、世界秩序の共通化を図り、正しい市場の確立を目指して、全世界の

人々が協力し合う方向へ努力する必要があると思います。

 そのためには、ユーロと同じように為替相場を撤廃し、世界共通の通貨を設定する必要があると思い

ます。例えば、「ワールド」や「ユニ」といった単位を設定し、通貨を全世界で共通化する必要がある

と思います。

 ただし、経済学者の中には、単一の通貨を持つことについての危険性を懸念する意見もあります。

 景気変動に対する金融政策がとりにくくなるといわれています。政府支出と金融調整機能は、自国の

総需要管理の強力な誘導手段であり、この2つを放棄することは自国の雇用を域内市場の趨勢に任せ、

政府が国民に対する責任を果たす直接的な手段が大きく制約されることを意味するとのことです。

 しかしながら、今日の経済変動は、一国の政府が調整できる範囲を超えつつあり、世界が共通の認識

に立って各国協力のもと対策を講じていく必要があると思われます。

 さらに、今日の世界には地域格差が存在し、先進諸国と開発途上国の違いがありますが、為替相場を

廃止し、通貨を共通化することにより、相互の依存度が増し、通商や経済協力が増大することが期待さ

れます。通商の増大は、経済成長をもたらし、企業はより大きな経済圏で活動する利益を享受すること

ができ、通貨統合により商品、サービス、資本、労働力の自由な移動を促進し、市場統合を可能にする

ことにより、世界格差の是正を図ることが可能になると考えます。

 安倍首相の施政方針演説の中にもある通り、活発でフェアな国際競争を確保し、貿易や投資のルール

を国際的に調和させるためにも、日本は、ルールを「待つ」のではなく、主動的な立場で「関税の撤廃」

のみでなく、「世界通貨統合」に向けての考え方を示し、「世界を創る」国でありたいと考えます。

 世界各国は、国益を守る範囲内において、共同歩調をとるものと考えられますので、先進諸国が主体

となって、開発途上国の経済発展を支援する形で進めていけば、世界の発展につながると思います。

 イスラム社会で、「ジハード(聖戦)」と呼ばれるテロ行為が多いのは、経済的に貧しく、生活が苦

しいからだと思います。世界平和を望むのであれば、彼らの生活を豊かにしてあげなければ、何の解決

にもならないと考えます。こうした観点からも、世界協調路線を築くための懸け橋とするため、「世界

通貨統合」に向けて、先進諸国が協力して努力し、開発途上国の経済発展に寄与すべきだと思います。

                                     平成25年3月
      
                                                 以上

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為替相場の撤廃・世界通貨の統一