普段、ちょっと詠んだり、メモした句を集めました。

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くたびれて 雨のさざんか 借の宿        

山茶花や 小雨にかすむ 旅の宿

山茶花や こころ和ます 赤い花         

山茶花の 緑葉深き 夕しぐれ

降る雪に 色染まりつく 寒椿          

冬ぼたん 降る白雪を 口にして

鑞梅や ほの香り立つ 雪景色          

鑞梅に 鼻をつけたし 新春の雪 


鑞梅の 甘い香りに 深呼吸           

山茶花や 緑に映える 盛りなり

初春の わら笠似合う ぼたん哉         

藁帽子 かぶってすます 冬ぼたん


大寒に 耐えてつぼみの 開きけり        

梅の 寒さを防ぐ 香りかな

子を宿す 娘いとしや 花だより


   

かなしきは 千鳥鳴くなり 夜半の里

夜明け前 秋行く河原 千鳥鳴く

潮満ちて 傾く月に 小夜千鳥

風白く 鴨住む水辺 うす氷

庭先で 鳴くや日雀の 雨宿り

朝床に 枯れ木つんざく 鳥の声

夢うつつ 鴨の浮き寝の 波まくら

波間より 雲に消えゆく 千鳥かな


夜半に鳴く 波間に消ゆる 浜千鳥


むら千鳥 波の間に間に 揺れて鳴く

潮干潟 たづ鳴きわたる 夕月夜

千鳥鳴く 山の木の葉も 色付きて


道ふさぐ 鳩の賑わい 日向ぼこ

朝白し 枯れ木をぬける 羽音かな

初詣 鳥ももみ合う 池の端



   

西の端に ぽってり浮かぶ 冬の月        

有明の 枝端にかかる 冬の月


明け止めて ぽってり浮かぶ お月様       

月まろく 師走ほほえむ 豪徳寺


天と地に 悲しみ深し 月明り          

風速し 木の間笛吹く 山の月

朝の闇 ふくらむ月の やわらかさ        

寝覚め見る 池の氷に 澄む月夜


いてついた 水辺に凍る 月の影       

あけぼのや 霜月ほてり ほてりけり


心無し 故人を思う 冬の月         

月は寝る ゆりかごのように 月は寝る


厳寒の 月にほれけり 酒の友        

冬の朝 月がぽってり 残りけり

今朝の月 紺の布地に 絹の糸        

藍染の 絹に金糸の 弓月哉


春浅し ながむる月の 朝ぼらけ

   


寝覚め聞く 時雨わびしき 風の音        

白波の 寄する岩根に 吹く嵐


氷風 芭蕉の杖に すがりつつ          

大寒や 耳を切るよな 風飛沫


春は夢 芦の枯れ葉に 吹雪く風         

木枯らしの 電線ゆする 風の音

道の影 風の冷たき 日が昇る


   

冬の雲 鉛のように ゆれる海        

朝影や 冬めく霧の 深さかな


   

里深し 風すさまじき 時雨かな       

初しぐれ 色移り行く もみじ山


木の葉散り 会う人もなし 初しぐれ     

もみじ山 色まさりゆく 初しぐれ


霙降る 窓に雫の 夜汽車かな        

夜深き 時雨しきりと 降り満ちて


鳴く鹿の もみじ散る山 夕時雨       

山里の 風すさまじき 初時雨

  

凍り付く 岩間にむせぶ 水の音       

うす氷 岩間にまよう 水の泡


  

うぐいすの 羽根白妙に 雪が舞う      

後朝の 別れもどかし さざれ雪


跡もなし 不破の関屋の 夕吹雪       

白雪の 岩に咲きたる 花模様

白雪の 衣手さむし 吉野山         

雪が降る ただ凛々と 雪が降る


燭の火や かなしき街の 雪明り       

雪明り さびしき町の 駅舎かな


さいはての 夜汽車の別れ 雪の中      

凍りつく 重き靴音 眠る街


白雪に みどりぞ勝る 老の松        

うずもれて 庵包まん 雪の里


老骨に 耐えてしのぶや 雪下ろし      

豪雪に 耐える老骨 もの言わず


雪晴れて 湯殿にかかる 雨しずく      

湯宿して 宵の明星 雪明り


ほのぼのと 香る湯けむり 雪見酒      

湯けむりの 窓辺に積もる 雪景色


浮世絵に 似たる浮世や 雪化粧


   

日は昇り ビルの谷間に 白き富士      

山遠く 鳥渡る山 雪の山

冬の空 青き富士の根 白き嶺        

深雪降る 衣手さむし 吉野山


ふるさとの 山の白雪 まさりける      

わけ入りて 山の白雪 ひとりじめ

雪消えて 赤茶にのびる 赤城山



   

冬枯れの 朽ち葉の霜に 月の影       

笹の葉に 霜のこおりて 光る月


冬深く 青葉消えたる 芦の群        

くれたけの 雪の下折れ 笹の音

埋もれ木や 霜枯れの下 春を待つ      

雪ごもり 耐えて草木ぞ 春に咲く

もみじ葉を 白く染めたる 今朝の霜     

カサコソと 路上の枯葉 風の声

木の葉飛ぶ 風の明暗 日暮れ時



    

冬白し 浜の真砂に 消える波        

白波の 寄する岩根に 吹くおろし


人もなき 浜のとま屋の 冬景色       

浦さびて 波寄るほかに 月もなし


寂寞と 揺れる松風 冬の海         

冬の海 腸を断つ 風の音

銀色に ゆったり揺れる 冬の海       

磯月夜 氷の屑の 波の音

波間より こおりて出ずる 月夜かな

   

   

冬枯れの ブナの林を 揺する風

立ち騒ぐ クヌギ林に 冬の音

霜枯れの くぬぎ林に 百舌の声



   人事

老いたるは 寒さに負けぬ 干物かな     

ついに行く 道の凍てつく 荒野かな 


霜夜には あなご塩焼き 熱い酒       

雪道や 人の通った あともなし

ふと覚めて 泣きかぶりたる 蒲団かな    

時忘れ 目閉じ目を開け 日向ぼこ


コニャックに 酔う悲しみの 夜寒かな    

小春日の 山に吸われし 我が心 


木枯しや 酒に悲しみ 啜る滓        

冬ざれの 磯の女の 巻煙草


働けど 手はひび割れて 年暮れず      

ともし
火や 冬のとばりに 家二軒

菓子皿を かりかり噛むや 年の暮      

霜枯れて 土に戻りし 我が命


霜枯れて 土に帰らん 我が思い       

遠い空 眺めて憂う 冬の街


事始め 今年還暦 木偶の坊         

除夜の鐘 ゆるく息する 湯舟かな


北国の 悲しみ啜る 小春かな        

冬晴れや 友は帰らず 石の中


舌づづみ ヒラメあん肝 友の郷       

初仕事 通う電車の なじみ顔


通勤の 車窓まぶしき 初日の出       

親ごころ うれし息子の 初仕事


初孫の 初耳うれしや 初雑煮        

年の瀬に 天使旅立つ 笑顔かな


年の瀬に 七官挑む 歌の友

 

冬の歌