普段、ちょっと詠んだり、メモした句を集めました。

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式部咲く 店の軒端の 雨しずく         

雨に咲く 紫式部の 玉の露

萩の露 はかなく宿る 野辺の月         

彼岸花 垣根の外に 人の影

イチローの 快挙を祝う 菊日和         

コスモスの 一輪の風 頬なでる

胡蝶舞う 目にしむ色ぞ 萩の花         

黄紫(
キムラサキ) 気品漂う 萩の蝶

日に照るや 色とりどりの 菊の花        

饅頭と 菊を愛でつつ 茶を啜る



   

雲渡る ビルの谷間を 雁が行く         

初雁の わたりて遠く 告げる秋

飛ぶ雁の 数を読みとる 月夜かな        

哀れなる 鴫立つ沢の 秋の暮

雁がねや 山飛び越ゆる 秋の暮         

カラス鳴く まだ明けやらぬ 秋の空

初雁や 遠く遠くに 白い雲           

薄枯れの 荒田を渡る 雁の群れ

有明の 雁に明星 月の船

   


ふけゆけば ものこそ思う 月の影      

月まろく 町がほほえむ 豪徳寺

月浮かぶ 有明の空 かなしけり       

月青し 心にしみる 姿かな


一目見て 月に心を 奪われし        

月澄みて 月のうらまで 見ゆる月


もみじ山 夜に冴え渡る 月明かり      

寝覚め見る 月の明かりの かなしさよ

明け止めて ぽってり浮かぶ お月様     

月は寝る ゆりかごのように 月は寝る

天と地に 悲しみ深し 月明り        

風速し 木の間笛吹く 山の月

朝の闇 ふくらむ月の やわらかさ      

病みつきて 悲しみ床に のる月夜

我が心 月に映りし 悟りかな        

月宿る 野にも山にも 秋の色


月青し 心のかぎり ながめつる       

目にさやか 信夫の里の 小夜の月

波しずか 月の光の うつろいて       

物思う 秋は夜長の 月の影

小萩咲き 夜な夜な庭に 月が降る      

秋の夜の 月待つこころ 常なりて

かげりなき 弓張りの月 天を刺す      

月浮かぶ 明け方の空 ながめつる

長月や 個展の便り 届きおり        

三日月の 雲に隠れし 父母の影


影立ちぬ 月夜に青き あすなろう      

むせびなく 室上山の 月の影

人麻呂の 涙を誘う 山の月         

室上に 人麻呂かなしや 今日の月

悲しさや 人麻呂忍ぶ 月の山        

今日の月 人麻呂の歌 想いいづ

船遥か 月影ゆれる 周防灘         

月照らす 玄界灘に 湯の香り

   

秋来たり 驚く肌に 隙間風           

聞こえくる さやかに見えぬ 秋の風

身にしみる 野原の風に 秋の声         

岩肌の 常磐の山に 秋の風

冬近き 峰にあらしの さわぐ音         

秋風に 木の葉かすれて 物かなし

秋深し 山の木ごとに 鳴く嵐          

自転車の 倒れてわびし 秋の風

浅黄萌え 谷間深し 秋の風           

はじめなく 終わりを知らず 秋の風

裾返す 秋の初風 ここちよさ          

いつの間に 稲穂そよぎて 秋の風

もみじせぬ 常磐の山に 秋の風         

常磐山 秋を知らせる 山颪

松風も 身に染む秋の 色となり         

人もなし 深山の月に 秋の風

秋風の 色付にけり 山辺かな          

吹きすさぶ 葦の枯れ葉に 秋の風

暮れかかる むなしき空に 秋の風     

夕暮れに 風の身にしむ 秋の暮

秋風に 夕日寂しき 山の陰        

萌黄立つ 華厳の谷に 秋の風

道の影 風の冷たき 日が昇る       

新涼に ほっと息つく 今朝の風

風神の 荒れたる秋の 初めかな      

秋の風 衣を変える 心地よさ


つむじ風 雨戸をたたく 夜長かな      

台風の 去りて目にしむ 陽射しかな

カーテンの 裾をたゆらす 秋の風     

秋の声 丑三つ時の 嵐かな

風神や 一吹きごとに 夜寒かな      

台風の 去りて牙向く 大地震

ラジコンを ふわりと誘う 秋の風     

風拾う ラジコン昇る 秋の空

空高く ラジコン演舞 風を呼び      

風に乗り 遊ぶエアコン 秋の舞





   

夕暮れや いつしか空に 秋の雲       

雲間より もれいづる月の 影さやか


夕暮れの 物思い見る 雲の果て       

垂れこめる 雲わびしけり 草の花

ラジコンや 飛べ舞上がれ 秋の雲

   

行く秋の 雨降る闇の 深さかな       

秋深し 雨の身にしむ 寒さかな

しとしとと 夏去る雨の 窓辺かな      

夏暮れて 草木を濡らす 雨しずく

寝ざめ聞く 秋雨寒し 闇の音        

原沼の 水のさびしき 霧しぐれ

朝ぼらけ 心悲しき 秋の雨         

露天駅 人影かすむ 秋の雨

ゆく秋の 風の音わびし 夜の雨       

風なきて 朝影暗し 初しぐれ

杜甫の詩に 秋忍び寄る 雨の音

   

秋惜しむ 夕日寂しき 山の陰        

雁が音の 山飛び越ゆる 遠き嶺

月出でて 夕陽消えゆく 山の影       

日は山に 月を背に見る 散歩道

秋風や 筑波は東 富士は西         

柿の実の たわわに山に 日が落ちる

天高し 筑波は東 富士は西         

靄立ちて 朝日に浮かぶ 秋の川

   

もみじして 山里深き 錦かな        

雨降りて もみじ染めたる 深山かな

白眉に そこはかとなく 散るもみじ     

落葉松の 木の葉しぐれに 目を見張り

道野辺に 木の葉渦まく 峠かな       

もみじ葉の 風にうつろう 山路かな

音もなく 枯れて一片 舞にけり       

葉一枚 月から消える 梢かな

天の川 もみじの橋を 渡る風        

山里は もみじの色と なりにけり

高瀬舟 もみじ流るる 五十鈴川       

雨降りて もみじ染めたる 深山かな

もみじ山 夜冴えわたる 月明かり      

もみじして 山里深き 錦かな

萩の葉に 露肌寒し 朝の風         

ものがなし そこはかとなく 散るもみじ


重なりて 枯れ野のすすき 我を見る     

木の葉飛ぶ 風の明暗 日暮れ時

あしびきの 山の木の葉に 吹くあらし    

秋風に 木の葉乱れて 物かなし

木の葉散り 梢に晴るる 月夜かな      

かなしさに もみじうつろう 秋の暮

散るもみじ 風のまにまに 転げ行く     

もみじ葉の 道踏み分ける 人もなし

カサコソと 路上の枯葉 風の声       

秋涼し 雨の葉音に こころしむ

白滝や 谷底萌える もみじ哉        

碓氷越え 枯葉が足に からみつく

小瀬の湯や 萌ゆる楓の おもてなし     

鬼押しの 恐れを知るや 松・すすき


横川の 山深き雲 垂れススキ

   


  虫

月青し 名もなき原に 虫の声        

ほたる飛ぶ 葦の根元に 秋の風

故郷の 虫の音飽きぬ 夜長かな       

月影に 虫の音響く 荒れ野かな

キリギリス 声遠ざかる 夜寒かな      

きりぎりす 風の寒さに 鳴きやみて

やぶれ宿 松虫の声 かわきけり       

きりぎりす その影寒し 秋の霜


パサパサと 葉音に虫の 雨宿り       

雨音に 虫の音細く つづきたり


虫の音に ねむりは深く なりにけり     

家遠く ギンギン鳴くや きりぎりす

ぶり返す 暑さに耐える 秋の蝉       

花火散る 音はうすれて 虫の声


豊作を 告げる虫の音 勝りけり       

闇をつく 音色数種の 虫の声

道の辺の いなごバッタよ 影もなし     

縁側に いつしか赤い 空トンボ

雨止みて 虫鳴く月の 青さかな       

停車場に 開くドアから 虫の声


   人事

万葉の 我妹子背子ワギモコセコの 忍ぶ草

老いたるは 黄金色した 落ち葉かな


ついに行く 道を誘う 月夜かな       

外に出る 猫ももの憂い 秋の空

古文書や 夜なべの灯り 染みの痕      

修験者の じゃらんじゃらんと 秋の暮

おぼつかな すずろにものの 秋なれば    

秋の里 寝覚めて鹿の 声を聞く

さお鹿の 鳴く山深き 夕間暮れ       

さびしさを 色表せぬ 秋の暮 

黄金の 陽はまた昇る 残暑かな       

黄金の 朝日まぶしき 秋の空

キオスクの あいさつ朝の 爽やかさ      

始業美や 夏の思い出 手にもって

古酒に詠む 今日の命の ありがたき     

秋寒に 晴れて衣の 新しき

秋晴れや 車窓ぽかぽか 乗り過ごし     

夜長には 李白を友に 一杯の酒

茶をすする 身は千振りに 似たるかな    

夜を厭う 人に千振り 身のくすり

四万(シマ)の秋 元禄の湯の 神隠し    

安中の 煙立ち立つ 秋の山

ラジコンや 秋を楽しむ 昼下がり     

秋暮れて 歌を肴に 友の縁


 

秋の歌