普段、ちょっと詠んだり、メモした句を集めました。

短歌・俳句紹介へ戻る

 

 

薫り立つ 定家かづらや 蔓の先         

池の端 咲くともなしに 杜若

アヤメ草 水辺に映る 潮来舟          

香り立つ 親王慕う かずらかな

草茂る 目に涼しけり 藪の花          

垣根越し 定家かずらの 香りかな

客去りて 床に残りし 牡丹かな         

さるすべり 花も木の葉も 赤くなり

門によし ピンク燃えたり 百日紅        

峠道 ピンクに染まる 山つつじ

こがれつつ 萌ゆるデイゴか 美(チュ)らの海  

黒髪に ハイビスカスの カムシャマヨ

紫陽花の 濡れて目にする 青さかな       

しばしとて 濡れて佇む あやめ草


君待てば 伴に濡れけん 合歓の花        

君去りて 香り残りし 合歓の花


茶の湯さす 手許や白し 花菖蒲         

夏の畑 コスモスの種 飛びて咲く


松の根に 散る山吹の うるわしさ        

ジャガイモの 日照り畑に 白い花

   


あきたらず 夏は鳴く夜の ほととぎす      

卯の花の 咲きて鳴きたる ホトトギス

古里の ひばの木に啼く 閑古鳥         

朝床に 鳴いて風切る 四十雀

ほととぎす はるか梢に 鳴く山辺        

鳴きやまぬ 森の聖地の 不如帰

朝寝して 聞けば雀の 音合わせ         

庭先で 鳴くや日雀の 雨宿り

鶯や クヌギ林の 天に鳴く           

葦の中 雛の葦切(
ヨシキリ) 大はしゃぎ

姿消す 大葦切や 夏の朝            

甲高い 大葦切の 初名乗り


葦切も じっと巣籠る 一つ雨          

七夕や 葦の林に 雛の声


麦秋に ツピツピツピと 鳴く小鳥        

雲を裂く 大葦切や 琵琶の音

   

つゆ空に ぽってり晴れて 浮かぶ月       

川風に 一人月夜の 最上川

ふるさとの山川恋し 盆の月           

ねだられて 猫出すドアに 盆の月 

夕立の かわかぬ空に 澄める月         

雨霧に 月かと惑う 夏日の出

梅雨空に せつなき月の 隠れけり        

せつなさに 蛙鳴くなり 隠れ月

   

夕蝉や 月はいづこに 棚の雲          

炎天下 茂る大樹や 雲の峰

茜雲 夕影せまる 夏木立          

天空に 芙蓉のごとし 雲の舞

重ね雲 ほに黄金の 西日あり        

雲り空 夏の暑さも 峠越え

梅雨の雲 黒き闇飛ぶ 翼かな        

   

雨休み 車中で揺れる 一人傘        

蛙鳴く 田面にほつり 走り雨

夕立や 濡れたトマトを 手で食べる     

なびき合う 雨の合間の 蝉時雨

蝉時雨 夏の終わりを 告げる雨       

早々と 夏過ぎ行かん なみだ雨

梅雨空や 白砂きしむ 玉陵(たまうど)  

夕立に ゆれる盆提灯 父母の影

青田見る あられ吹き飛ぶ 車窓かな     

雲光る 雷撃直下 雨の音


夏の雨 車中にうだる 顔と顔        

雨を待つ 葉に重たげな 暑さかな


梅雨明けに 目を射る光 たまり水      

雨去りて 夏空青き 月の影

寝苦しき 夏を休める 雨の音

   

梅雨空に 富士は見事に かくれけり     

故郷の ありがたき山 雲の嶺

谷広く 朝もやかすむ 青田かな       

夕焼けの 雲の切れ間に 富士の影

岩山や 夏めく空に 白き嶺         

天の川 ブナの林に 流れ込む

夏惜しむ 富士の精粋 池の底

   

竹折れて 夏枯れさみし 上屋敷       

今帰仁(
ナキジン)の 夏草深き 石堤(イシヅツミ

萱茂る 音のかそけき 日暮れかな      

涼しさに 夕影さやぐ 茅の音

七夕や 笹の葉揺れる 星の影
   

  虫

日照り道 ハチの亡骸 黒い縞        

蠅立ちて 茶碗の縁で 足をする

木漏れ日や 音色数種の 蝉の声       

火取虫 燃える命の 如きもの

ムカデさす 心乱れて 安すまらず      

山小屋の 百足張り付く 北の壁

ジージーと 低い木で鳴く 路地の蝉     

キャッチボール 惜み鳴きたる 蝉しぐれ

山里に 鳴くひぐらしや さびしけり     

夏速し どこか消え行く 蝉の声

夕立の 去りて鳴きたる 蝉しぐれ      

蝉の死を 花で囲むや さるすべり

ほたる飛ぶ 葦の根元に 秋の風       

晴るる夜の 星か蛍か いさり火か

鳴く蝉の 声も涼しき 夕間暮れ       

ひぐらしの 鳴いてわびしき 日暮れかな

茜さす 紫雲の風に 蝉の声         

垂れこめる 雲に吸われし 蝉の声

空蝉(ウツセミ)や 雲の重さに 耐えきれず  

木に森に 虫鳴き蝉の 声細し


天仰ぐ 蝉の亡骸(ナキガラ) レンガ道    

また一つ 蝉に群がる 蟻の山

熱帯夜 とぎれて細き 虫の声        

日が暮れて 寺の瓦に 蝉しぐれ

夕去れば 虫の音涼し 焼き畑        

猫の目や 蛾をしとめたる 心意気

雲薄き 時は流るる 蝉の声         

雲重く 移ろい告げる 蝉の声

ミンミンと 鳴いて移ろう 時の声

   

白砂に 我たち濡れし 蟹の友        

初夏青く さざなみ歌う 珊瑚礁


波遠く 祈る心に 南風           

さざ波の 寄する岩穴に 初夏の風

   人事

君がゆく 夏の盛りを 惜しみつつ       

おとうさんと 呼ばれ振り向く 盆の駅

みそづけに 茶漬ぞうまし 夏の汁       

叔母が来て おはぎ味わう 盆の午後

はく息の つまる駅舎の 暑さ哉        

夕凪に 首振り回す 扇風機

娘らの 声ぞかしまし 暑気あたり       

夕立に ゆれる盆提 父母の影

照り返す ペイブメントや 熱地獄       

目玉焼き 極暑に耐える 鍋の底

冷房機 さわぐ電車の 暑さかな        

まったりと 匂う駅舎の 暑さかな


老いたるは 暑さに耐える 巌かな       

ついに行く 道は日照りの 暑さかな


夏涼し 熱きコーヒー 口に合い        

我一人 夏の涼しき 茶をすする


盆の駅 訛りなつかし 声すなり        

白球や 気力全開 たぎる夏


湯上りに 産毛かかりし ゆかた哉       

アテネ路や 西日に映える 金の道


川宿の 窓に浴衣の 艶すがた         

湯の香り 首筋細き ゆかた哉


赤瓦 陽射しは初夏の 首里城(グスク)    

早乙女の 悲しみ深し 百合の塔


はく息の つまる駅舎の 暑さ哉        

夕凪に 首振り回す 扇風機


娘らの 声ぞかしまし 暑気中り        

照り返す ペイブメントや 熱地獄


目玉焼き 極暑に耐える なべの底       

冷房機 唸る列車の 暑さかな


炎天に 白球せまる 甲子園          

ホオズキや 家族そろって 墓参り


オリンピア アテネぞまさに 夏祭り      

送り火や 父母の煙を またぎおり


健男(マスラオ)の 五月幟(ノボリ)や 桜島  

還暦や 吾世に出たり 土用凪


時を待つ 猫に涼しき 水の音         

夏靄に ぼんやり浮かぶ 朝日かな


小畑の 茄子風に揺れ 手をのばす       

夏の朝 子猫と競いて 飯を食う


天飛ぶや 夏夜の別れ 電話口         

団子皿 スイカの種が プイと飛び


冷麦に 茗荷の香る 甘さかな         

宮参り 暑さに負けぬ 寝顔かな


故を忍ぶ 亀山社中の 残暑かな        

孫ふたり 他のスイカに 目を配る


老い一つ 花火きらめく 孫の顔        

凛として 燃え立つ火花 わが命

夏の歌