普段、ちょっと詠んだり、メモした句を集めました。

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山寺の 梅の香りが 風となり          

庭先の 春待つ梅の 香りかな

風ほのか 櫻のつぼみ 固からず         

沈丁花 香りたなびく 門出かな

人知れず 眼下にかすむ 山桜          

谷深く 知る人もなし 山桜

花と寝て 空に吸われし 心かな         

花に酔う しず心なく はらはらと

春の陽に みだれし花の ほころびて       

山寝して 花はうつろう 夢うつつ

うれしさを 花の色にも 見つけたり       

来てみれば 風にたなびく 山桜

みわたせば 柳桜ぞ 春錦            

桜散る たなびく山の 春霞

山吹の 咲いてさくらの 散りにけり       

山桜
 咲くと見る間に 散りにけり

花誘う 君が心に 引かれつつ          

花の香に 我はほのかに なびきたり

花誘う 霧島の峰 鳥の声            

香り立つ 定家かづらや つるの先

道真の 大樹の陰に 藤の花           

花開く 匠(
タクミ)の腕(カイナ) イタリア香

月青く 花のはじける 今宵かな         

月影に 花はじけたる 青さかな

花月夜 心はじけて 天に飛ぶ          

街路地に 蒔絵のごとし 花吹雪

ついに行く 道を誘う 桜かな          

ふたり行く 後姿に 散る桜

花の下(モト) 父は盃(サカヅキ) 母の笑み   

面影や 花はめぐりて 七回忌

祭壇に 父母がほほ笑む 花の縁         

梅の香や 一枝揺れて 風の乗る

梅さやか 風にうすれて 飛ぶ香り        

うら若き 小袖をたらす 半化粧

   

うぐいすの 羽根白妙に 雪が舞う        

花散りて 山の鶯 泣きにけり

黎明の 霞引き裂く 鶏の声           

頬白の 飛び立つ声か 朝寝床

頬白の 鳴いて芽が吹く 梨の花         

飛び立つや 尾長の声か 空に消え

朝床に 音色合わせよ 雀の子          

雀の子 そろそろ今日も 日暮れけり

マキ垣に 飛ぶうぐいすや 国屋敷        

谷深く うぐいす啼きて 藤の花

春の川 渡るおしどり 父母の影         

風薫る 小鳥小枝を 揺すり去る

香る風 鳥の羽ばたき ゆれる枝

   風  

さらさらと 端(ツマ)返しけり 春の風     

日が暮れて 葦の若葉に わたる風

庭手入れ ほんのり汗ばむ 春の風        

春風や 木の下陰を ゆすりけり

風薫る 阿蘇の台地に 神の顔

   

畦に鳴く 蛙も月の 夕べかな          

水の面に のどかに宿る 春の月

卯の花も 春も若菜も 月見かな         

月船に 寄り寝し春の 宵の星

   

春霞 一山ごとに なびく雲           

雲の峰 翼は遠く 那覇の海

   

若草の 野辺に霧立つ 春の雨         

色まさる 野辺の緑ぞ 春の雨

色若き 青柳濡らす 春の雨          

花散りて むなしき空に 春の雨

蕗味噌や ひと雨ごとに 美味くなり

   

白妙の 眉毛にかかる 春の雪         

草の上 すけてとけゆく 春の雪


   

銀雪の 遠き山辺に 春来たり         

山がすみ 色うつろいて 花の影

敷島の 春は吉野を 駆け巡る         

菜種梅雨 跡形もなし 富士の山

春うらら ピンクに燃える 桜島        

あきつしま 群山霞む 国見かな

遥かなる 阿蘇の春山 神の里

   

草の芽の うごめき立つや 土の中       

せせらぎの 早蕨(
サワラビ)もゆる 雫かな

山野辺の 早蕨もゆる 清水哉         

せせらぎや 早蕨もゆる 水の音

水清し 早蕨もゆる 山辺かな         

若草の 野島の沖の 潮路かな

若緑 木の芽も春の 色となり         

春錦 花ときそいし 松の色

北上の 涙浮かべる 目に柳          

草むらに 陽炎萌ゆる 春の影 

芝を刈る 下草萌える 若葉かな        

新緑や 天の岩戸の 日の出かな

青によし 礎石に浮かぶ 帥(そち)の影    

土ごもり 息吹き返す 蕗の薹

   

春の陽や 細き虫影 書を渡る         

春の虫 白きページに 淡い影

   

日は落ちて ゆったりゆれる 春の海      

波に揺れ 沖行く船の 蜃気楼

春の海 ゆらりゆらりと うねりけり      

春干潟 ぬるりぬるりと 足の跡

船遠く 大隅浮かぶ 春霞           

わが命 船引く春の 潮路かな

春暮れて 悲しさ告げる 岬かな

   

湯布院の 湯の花ゆかし 綿帽子        

緑濃き 大地の底に 血の地獄

岩風呂に 映る青葉の 若さかな      

   人事

事始め 今年還暦 木偶の坊          

悲しみの 煙草も花の 香りかな

寺に寝て 遠き蛙の 声すなり         

花の宴 それを横より 見る男

父母の 息子を思う 温かさ          

人の波 くぐる童や 春の声

君がゆく 花の香りを 残しつつ        

神仏 人の作りし 春の夢

老いたるは 咲きこぼれたる 桜かな      

ついに行く 道に舞散る 桜かな

春立ちて 陽ざしに温む 車中かな       

恋に似て 木の芽でんがく 忘られず


朝日さす 車窓ぽかぽか 春景色        

人の世の 諸行無常の 春の夢


うらうらに 車窓が温む 春日かな       

小春日や 首筋照らす 窓辺かな


膝に寝る 猫の思いの 温かさ         

君が行く 春の心を 惜しみつつ

願わくば 弘法大師の 古希の春        

うどん喰う 讃岐や春の 善通寺

春祭り そっと寄り添う 燭の影        

節分や 親子そろって 年男

悲しけれ サラダ菜の皿 酢の香り       

やめられぬ 木の実草の実 酒の友

春の闇 フェリーの灯り すべりゆく      

蕎麦を待つ 畦を青める 柳哉

夢の花 見事に咲いた 娘かな         

春立ちて 気まま気まぐれ 浮世船


春の歌