今年の秋は強烈な台風が5回日本に上陸し各地に大きな被害をもたらすとともに、

10月24日に新潟県中越地方に直下型の震度7を記録する大地震が発生しました。

 さらに台風の影響もあって、長雨が続いて地盤が緩み各地で土砂災害が発生し多く

の死傷者が発生したとのことです。

 唯一明るいニュースは、アメリカの大リーガーで活躍しているイチロー選手が、年間

最多安打259本の新記録を達成し、84年ぶりに記録を塗り替えたそうです。

 この秋9月から10月までの間に、私が創作した俳句を紹介します

  
  8月31日、台風16号が日本海を北上し、関東にも大雨を降らし、風神が大暴れしました。
  
   「風神の 荒れたる秋の 初めかな」

 9月1日、朝一番に秋を告げる個展の便りが届きました。
               
  
「長月や 個展の便り 届きおり」


 
9月2日、朝会社に行くため代官山の坂を上っていると、近くの小学校の生徒たちが

夏休みに作った工作や宿題を手さげ袋に入れて大事そうに運んでおりました

   

   
「始業日や 夏の思い出 手にもって」

 
9月3日、心地よい秋の風が吹き、新しい長袖のワイシャツとズボンをはいて出勤し
ました。 

                 
   
「秋の風 衣を代える ここちよさ」 

  9月4日、夕刻家路について、高架線を走るシャトル電車に乗り、各駅でドアが開くたびに激しい

虫の音が聞こえてきました。

 今年の夏は暑かったせいか虫の数も多く元気な鳴き声がリンリンと響き渡り、豊作が期待できる

ような気がしました。

    「豊作を 告げる虫の音 まさりけり」


  9月5日、今日は日曜日、朝から雨がしとしとと降って静かな一日でした。
     

 
   「夏暮れて 草木を濡らす 雨しずく」

  
9月7日、台風18号が日本海を北上し、夜中に激しい風雨となりました。
  
   「つむじ風 雨戸をたたく 夜長かな」

  
9月8日、台風が去って朝からからりとした秋晴れになりました。
 

   「台風の 去りて目にしむ 陽ざしかな」

  
9月13日、帰宅途中内宿の駅を降りると、あたり一面暗闇の中から無数の虫の音が聞こえて

きました。

    「闇を突く 音色数種の 虫の声」

 
 9月15日、秋晴れの朝を迎えました。 雲ひとつない空にこれぞとばかり太陽が光を放っていま

した


   「黄金の 朝日まぶしき 秋の空」

 
 9月16日、朝の通勤時間、大宮駅のキオスクの店員が明るい声で「おはようございます。 

ありがとうございました。」と大きな声を張り上げてお客様に挨拶をしているのを見て、心がさわやか

になりました
。 

   「キオスクの あいさつ朝の 爽やかさ」

  9月18日、夕方帰宅途中に、久しぶりに月を見ました。 それはさびしげな三日月で雲行きも怪し

くすばやく雲に隠れてしまいました。 その時ふと父と母のことを思い浮かべました。

    「三日月の 雲に隠れし 父母の影」

 
  9月19日、日曜日ゆっくり起きてじっと窓の外を見ていると、長いレースのカーテンの裾が静かに

ゆれて、秋の風が静かにわたってくるのを感じました


     「カーテンの 裾をたゆらす 秋の風」


  9月20日、今日は敬老の日で彼岸の入り、のんびりと外を眺めていると、庭の彼岸花越しに

垣根の外に誰ともいえぬ人影を感じました。 今年の春に亡くなった父と母のようにも思いました。

    「彼岸花 垣根の外に 人の影」



  9月24日、朝出勤するときに、雲が垂れ込め秋の深まりを感じました。

    「垂れ込める 雲わびしけり 草の花」



  9月25日、今日は土曜日、休日なので朝からのんびりと万葉集を読んでいました。

  夕暮れには古典を読みながら古酒を味わい、生きていることの有難みを感じました。
 
    「古酒に読む 今日の命の ありがたき」



  9月30日、台風21号が通過し、夜中に目を覚ましました。

          
 うしみつどき
    「秋の声 丑三つ時の 嵐かな



  10月2日、今日は久しぶりに秋晴れとなり、これぞ「日本晴れ」の一日でした。

  テレビですばらしいニュースが入ってきました。

  米国の大リーガーでプレイをしているイチロウー選手が年間最多安打新記録を達成しました。

  84年ぶりの快挙だそうで259本に達し、この後今年は262本まで行きました。

      「イチローの 快挙を祝う 菊日和」



  10月5日、ここ数日秋の長雨がつつき夜通し雨音がするすっきりしない天気でした。

    「寝覚め聞く 秋雨深し 闇の音」



  10月7日、雨上がりの道端を歩いていると、ふと昔はイナゴやばったが畑から飛び出してき

 たのを思い出して、

    「道野辺の イナゴばったよ 影もなし」



  10月9日、台風22号が関東地方を通過し、強い風に見舞われました。

    「風神や ひと吹きごとに 夜寒かな」


  10月12日、相変わらず秋の長雨が続き、霧が深くかかっている一日でした。

    「原沼や 水のさびしき 霧時雨」



  10月13日、引き続き雨が降りました。

    「朝ぼらけ 心かなしき 秋の雨」



  10月15日、久しぶりにからりと晴れた秋空が顔を覗かせました。

    「天高く 筑波は東 富士は西」



  10月17日、雨上がりで雨戸を開けていると、ふと縁側にどこからか風に吹かれて飛んできた

 トンボの抜け殻を見つけました。 そのとき秋の深まりを感じました。

    「縁側に いつしか秋の 枯れトンボ」



  10月20日、また雨が降りはじめ、早朝出勤時に深い霧に包まれました。

    「露天駅 人影かすむ 秋の雨」



  10月21日、台風23号が関東地方を襲い、夜通し雨が降り続きました。

               

    「行く秋の 風の音わびし 夜の雨」



  10月22日、帰宅途中、内宿の駅を降りると、雨上がりに虫の音が聞こえ、丸い月が出ました。

    「雨やみて 虫なく月の 青さかな」



  10月24日夕方、突如大型の揺れを感じました。 新潟県中越地方に直下型の震度7を記録する

大地震が発生しました。

  さらに、台風の影響もあって、長雨が続き地盤が緩み各地で土砂災害が発生し、多くの死傷者が

発生したとのことです。

             
  きば
    「台風の 去りて牙向く 大地震」



  10月27日、明るく晴れたものの、秋が深まり一枚上着をはおらないと肌の寒さを感じ、

クリーニング仕立ての背広に着替えて出勤しました。


    「秋寒に 晴れて衣の 新しき」


  11月2日、深い霧がかかり、朝影に冬の気配を感じ、秋は着実に過ぎて行くのを感じました。

    「朝影や 冬めく霧の 深さかな」












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2004年天変地異の秋