鹿島スケッチ紀行中に私が創作した俳句を紹介します

月見して月の心を知りたるは、古の大和心を知るに似たり。しずかに月をながめ、
 虫の音を聞きたるは、大地の息吹きを心の底に留めるに似たり。
  これすなわち、古来から人の心に伝わる一筋の道なり。 

 朝早く、筑波山を見んと鎌ヶ谷の原から取手へ向う

筑波見る 朝の刈田に 虫の声

風さやか 筑波の里の 赤とんぼ  

 取手から利根川に沿って鹿島へ向い、根本寺にて月見をするが月はなく、しばらくして
山から月が出て静かに寺の瓦を照らし始めると、瞬く間に寺の瓦が銀色に輝くのを見て

白銀の 瓦を照らす 山の月

 翌日、太洋村の大儀寺にて月見を所望する

大儀寺の 軒端を借りて 月見かな

風トンボ そっと離れて 揺れるつる

風さわぐ 晩夏を告げる 寺の蝉

雲あやし 風さわぎたる 月夜かな

十五夜に 月欠く寺の わびしさよ

 真夜中の丑三つ時に、鹿島神宮の神殿の真上に十五夜の月が晧晧と照るのを見て

    千歳越す 木々そびえ立つ 月見かな

千早降る 神の社に 天の月
      かなめいし 
         
要石 神代の月の おわしたる

    鹿の子や 母を求めて なく月夜

 鹿島の山間の田家に遊び月を見る

 
                    しらさぎ
         
稲刈りや 白鷺の舞う 田面かな  

                                      さと
         
白鷺の 舞い降りる田や 郷の秋

月涼し 日照り焼付く 芋畑

 鹿島の湯に漬かって

     夕雲や 月はいずこに 湯のけむり

  潮来にて

     
秋の雲 運河にかかる 十二橋

 帰り道、利根の河原の月を見て

水しずか 利根のすすきの 十三夜

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