(水の句)

凍り付く 岩間に落つる 水の音         うす氷 岩間にまよう 水の泡

                          (雲の句)

春霞 一山ごとに なびく雲           夕蝉や 月はいづこに 棚の雲

夕暮れや いつしか空に 秋の雲

                            (雨の句)

                            あおやぎ
若草の 野辺に霧立つ 春の雨          色若き 青柳濡らす 春の雨

雨休み 車中で揺れる 一人傘          なびき合う 蝉と雨との 夕しぐれ

蝉時雨 夏の終わりを 告げる雨
              早々と 夏過ぎ行かん なみだ雨

行く秋の 雨降る闇の 深さかな
              秋深し 雨の身にしむ 寒さかな

里深し 風すさまじき 時雨かな         
木の葉散り 会う人もなし 初しぐれ

さざんかや 小雨にかすむ 旅の宿       

                          (雪の句)

白妙の 眉毛にかかる 春の雪          草の上 すけてとけゆく 春の雪

うぐいすの 羽根白妙に 雪が舞う

きぬぎぬ                           ふわ
後朝の 別れもどかし さざれ雪         跡もなし 不破の関屋の 夕吹雪

        しもおれ             
くれたけの 雪の下折れ 笹の音         白雪の 衣手さむし 吉野山

短歌・俳句紹介へ戻る
水雲雨雪自撰集